【鍼灸師監修】東洋医学の「肺(はい)」とは?|働き・不調のサイン・秋との関係をわかりやすく解説

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「秋になると、なんとなく咳が出る」「喉や肌が乾く」「気分が沈みやすい」。こうした不調は、東洋医学では「肺(はい)」の働きと深く関わると考えられています。国家資格を持つ鍼灸師である筆者が、東洋医学でいう肺の役割や、不調のサイン、日常でできる養生まで、できるだけわかりやすく解説します。

東洋医学の「肺(はい)」とは?

呼吸器にとどまらない、広い役割を担う臓

東洋医学でいう肺は、西洋医学が指す呼吸器官としての肺だけを意味しません。呼吸を通じて自然界の清らかな「気(き)——体を動かすエネルギーのこと」を取り込み、全身へめぐらせる司令塔のような存在とされています。さらに、皮膚や鼻、体を外敵から守る防御の働きまで、肺の管轄と考えられています。気そのものについては、東洋医学の「気(き)」とは?でくわしく解説しています。

五行説では「金」に分類される

東洋医学の土台となる五行説(ごぎょうせつ)では、肺は「金(きん)」というグループに分類されます。金は、澄んだ・引き締まる・乾くといったイメージを持ち、季節では「秋」と結びつきます。五行説の全体像は、五行説(ごぎょうせつ)とは?もあわせてご覧ください。

肺の働きの種類・分類

① 気をつくり、全身にめぐらせる

肺は、呼吸で取り込んだ清らかな気と、飲食物から得られた気を合わせ、全身を動かすエネルギーをつくり出すとされています。いわば、体内のエネルギー供給を取りまとめる中継基地のような役割です。この働きが整っていると、声に張りが出て、疲れにくい状態が保たれると考えられています。

② 体の水分を全身に配る

肺には、体内の水分(津液——しんえき)を霧吹きのように全身へ散らし、不要になった分を下方へ送る働きがあるとされています。この働きが乱れると、むくみや痰(たん)として水分の滞りが現れやすいと考えられています。

③ 皮膚と「体のバリア」を守る

肺は「皮毛(ひもう)——皮膚や産毛」を主ると考えられ、体表を覆う防御の気「衛気(えき)」をめぐらせます。衛気は、いわば体の最前線に立つ門番のような存在で、外からの冷えや乾燥、邪気の侵入を防ぐとされています。東洋医学で肺が免疫と結びつけて語られるのは、このためです。

肺の不調が体に与える影響

呼吸・喉・鼻に出るサイン

肺の働きが乱れると、咳・息切れ・喉の乾き・声のかすれ・鼻づまりといった、呼吸器まわりのサインが現れやすいとされています。こうした不調のセルフケアには、肺の経絡(けいらく——気や血が流れる通り道)にある尺沢(しゃくたく)のツボが活用されています。

乾燥と「秋」との深い関係

五行説では、肺は乾燥を嫌う臓とされ、空気が乾きやすい秋に負担がかかりやすいと考えられています。秋口に喉や肌のトラブル、空咳が増えると感じる方は、肺をうるおす意識を持つとよいとされています。

気分の落ち込みとの関わり

東洋医学では、肺は感情のうち「憂い・悲しみ」と関わるとされます。秋に物寂しさを感じやすいのは、季節と肺、そして感情がつながっていると考えるためです。心の不調が長く続く場合は、無理をせず専門家に相談することがすすめられます。

日常での肺の養生・活かし方

うるおいを保ち、乾燥を避ける

肺は乾燥に弱いため、室内の加湿やこまめな水分補給が役立つとされています。マスクの活用や、就寝時の加湿も、喉や鼻を守る手段として知られています。

深い呼吸を意識する

浅い呼吸が続くと、気を十分に取り込めないと考えられています。一日に数回、ゆっくり息を吐き切ってから深く吸う呼吸を意識するだけでも、肺の働きを助けるとされています。

白い食材を取り入れる

五行説では、肺の色は「白」とされ、白い食材が肺をうるおすと考えられています。れんこん・大根・白きくらげ・梨・はちみつなどが代表例で、秋の食養生として親しまれています。

おすすめ関連グッズ・本

肺をいたわるセルフケアや、東洋医学の学習に役立つアイテムをご紹介します。

まとめ

東洋医学でいう肺は、呼吸だけでなく、気のめぐり・水分の配分・皮膚や免疫の防御まで担う、はたらき者の臓です。五行説では「金」「秋」と結びつき、乾燥に弱いという特徴があります。秋に喉や肌の乾き、空咳、気分の落ち込みを感じたら、うるおいを保ち、深い呼吸と白い食材を意識することが、肺をいたわる第一歩とされています。


※本記事は東洋医学の一般的な考え方・セルフケアの情報提供を目的としており、医療行為の代替となるものではありません。体調に不安がある場合は、医師または鍼灸師などの専門家にご相談ください。

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