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「食後に胃がもたれる」「なんとなく食欲がわかない」「体が重だるくて疲れが抜けない」。こうした不調が続くとき、東洋医学では背中にある「脾兪(ひゆ)」というツボが手がかりのひとつと考えられています。国家資格を持つ鍼灸師の筆者が、脾兪の位置や押し方、日常でのセルフケアの取り入れ方を、東洋医学になじみのない方にもわかりやすく解説します。
脾兪(ひゆ)とは?
脾兪は、背中にあるツボのひとつです。東洋医学では、内臓の働きと深く関わる「背兪穴(はいゆけつ)——背骨の左右に並ぶ、五臓六腑と結びついたツボの総称」のひとつに数えられています。
名前の由来と「脾」との関係
「脾(ひ)」とは、西洋医学でいう脾臓そのものではなく、東洋医学における消化・吸収の働きを担う機能のまとまりを指します。食べたものを、体を動かすエネルギーである「気(き)」や、全身に栄養を運ぶ「血(けつ)」へと変える、いわば体内の食品工場のような役割です。脾兪は、この脾の働きを背中側から支えるツボと位置づけられています。
経絡(けいらく)の上での位置づけ
脾兪は「膀胱経(ぼうこうけい)——背中から脚の後ろへと流れる経絡(気の通り道)」の上にあります。背骨に沿って左右対称に並ぶツボの一つで、消化にまつわる不調のセルフケアで用いられることが多い部位です。
脾兪の場所——見つけ方
脾兪は、背中の中ほど、背骨の左右に位置します。次の手順で探します。
3ステップでの探し方
- 背筋を伸ばして座り、左右の肩甲骨(けんこうこつ)の下端を結んだ線をイメージします。この線は、背骨の第7胸椎(きょうつい)あたりにあたります。
- そこから背骨を指でたどり、下へ4つ分おりた出っぱり(第11胸椎)を見つけます。
- その骨の下のくぼみから、指幅2本分(およそ3〜4センチ)だけ外側へ寄った左右の位置が脾兪です。
背中は自分では見えにくいため、はじめは家族に位置を確認してもらうと安心です。指で押したときに、鈍く「ひびく」ような感覚がある場所が目安になります。
脾兪はどんな不調と関わるのか
脾兪は、消化に関わる不調のセルフケアとして古くから用いられてきたツボです。東洋医学の古典では、脾の働きが低下した状態(脾虚(ひきょ))のケアに活用されてきました。以下は、伝統的に関連づけられてきた代表的な症状です。
消化器のもたつき
胃もたれ、食欲不振、消化不良など、食べたものがうまく処理されない感覚に対して用いられます。脾の働きを支えることで、食事のリズムを整える一助になるとされています。
疲れ・だるさ・むくみ
東洋医学では、脾は「気」を生み出す源とされ、脾の働きが弱ると疲れやだるさにつながると考えられています。また、脾は体内の水分代謝にも関わるとされ、むくみやすさとの関連も指摘されています。ただし、こうした関わり方には体質や状態による個人差があります。
日常での活かし方——押し方と温め方
押し方の基本
脾兪は背中にあり、自分の指では押しにくい場所です。次の方法が手軽です。
- 床に置いたテニスボールやマッサージボールの上に、あお向けで背中を当て、体の重みでゆっくり刺激する
- いすの背もたれの角に、軽く押し当てる
- 家族に、親指で3〜5秒ほどゆっくり押してもらう(気持ちよいと感じる強さで)
強く押しすぎず、痛気持ちよい程度にとどめます。食後すぐや発熱時、飲酒後は避けてください。
「温める」ケアもおすすめ
脾は冷えに弱いとされるため、脾兪のあたりを温めるケアも古くから親しまれています。蒸しタオルやカイロ、市販のお灸などで背中をじんわり温めると、冷えからくる胃腸の不調が気になる方のセルフケアに向いています。低温やけどには十分ご注意ください。
あわせて、胃腸の不調が気になるときは、おなか側のツボもあわせて知っておくと役立ちます。詳しくは中脘(ちゅうかん)の場所と押し方をご覧ください。また、脾そのものの働きについては東洋医学の「脾(ひ)」とは?でくわしく解説しています。
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まとめ
脾兪(ひゆ)は、背中にある消化と関わりの深いツボで、胃もたれや食欲不振、疲れやだるさが気になるときのセルフケアに古くから用いられてきました。自分では押しにくい場所のため、ボールや家族の手を借りたり、温めたりする方法が取り入れやすくなっています。無理のない範囲で、日々の体調管理のひとつとして役立ててみてください。
※本記事は東洋医学の一般的な考え方・セルフケアの情報提供を目的としており、医療行為の代替となるものではありません。体調に不安がある場合は、医師または鍼灸師などの専門家にご相談ください。

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